大判例

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最高裁判所第三小法廷 平成2(行ツ)77 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人向和典、同樋高学、同木山義朗の上告理由について

原審の確定した事実によれば、本件仮差押命令が発令された昭和五九年三月六日

の時点においては、本件甲及び乙建物は、いずれも、独立の不動産としての存在を

失っていたものであり、これを対象としてされた本件仮差押命令は効力を生ぜず、

その登記も仮差押登記としての効力を有するに由ないものというべきであるから、

上告人は、本件仮差押登記を回復する法律上の利益を欠くものといわざるを得ず、

したがって、本件抹消登記処分の取消しを求める訴えの利益を有しないものと解す

るのが相当である。また、本件表示登記処分の取消しを求める上告人の訴えも、結

局において本件仮差押登記を回復することにその目的が存するものである以上、上

告人は、これを求める訴えの利益をも有しないものというべきである。そうすると、

本件各登記処分の取消しを求める訴えをいずれも不適法とした原審の判断は、結論

において是認することができる。原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は本

件に適切でなく、論旨は、違憲の主張を含め、独自の見解に立って原判決の法令違

背をいうか、又は原審が本案についての上告人の主張を採用しないことの不当をい

うものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官

園部逸夫の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官園部逸夫の補足意見は、次のとおりである。

私は、不動産登記法の定める「登記官ノ処分」について、これをそのまま行政不

服審査法及び行政事件訴訟法の定める行政庁の処分に当たるとすることには、理論

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上の問題点が多々あると考えており、我が国の不動産登記制度の歴史と現行の実務

を顧慮しつつ実体法上登記官の登記記入行為の行政処分性を明確にする方向での制

度の改善を期待するものである(拙稿「登記と行政訴訟」香川記念『民法と登記上

巻』四一頁(平成五年)参照)。しかしながら、他方、現行法の下においても、登

記官の登記記入行為と関係当事者の権利利益の保護という観点から見れば、右行為

の行政救済法における行政処分性を認めることも可能であると考えており、私は、

この見解に立って法廷意見に賛成するものであることを、念のため明らかにしてお

く。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 千 種 秀 夫

裁判官 園 部 逸 夫

裁判官 可 部 恒 雄

裁判官 大 野 正 男

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